“彼”の浮気現場を目撃したしよりは、大学の後輩、愛子に連れられ傷心旅行をしていた。しよりはケータイの中でしか自己を見出す事が出来ないケータイ依存症の大学生。疲れきった心は旅先でも自己嫌悪の堂々巡りを繰り返す。
一方、自己中心的な性格の愛子は、しよりの傷心旅行にもかかわらず、しよりとの旅行に一人浮かれている。愛子もまたケータイを中心に人と関わる事を優先しているイマドキの女子大生。
2人が向かう先は、隠れ家専門の温泉ガイドにも載っていない超穴場スポット、人里はなれた山奥にある小さな温泉街“阿鹿里村(アシカリ村)“。都会と違う違和感に戸惑いながらも、しよりは愛子と温泉を楽しむはずだったが、誰かが忘れたケータイの着信に出た時から、彼女の運命は一変する。
着信相手が発する衝撃的な言葉「早く逃げろ!足を切り落とされるぞ!」。愛子と離れ離れになったしよりは、見えない誰かに振り回され、村人に追われ続ける。一方、愛子も見知らぬ相手と闘い、傷ついていく。
「ケータイの向こうにいる人は誰?」「なぜ、私を殺そうとするの?」案山子、えびす、かごめ・・・交差する情報の中、全てを解決する手段はお互いに持ったケータイのみ。何を信じれば正しいのか、その答えを出せないまま、ケータイを中心に張り巡らされた個々の想いは、宿命と運命の螺旋と絡み合い、やがて想像を超えた終焉を迎える。
現在のケータイは、着メロ、ゲーム、コミックなど、何でも手に入る私たちの生活に依存した便利なツール。それは同時に、他人との距離を保つ道具として、ケータイを通して笑い、怒り、傷つき、人とつながり合う、自己表現の一つとなったのです。
ケータイコミック「エクスクロス」は、主人公のしよりが自己のアイデンティティーを発見し、誰もが受け継ぐ「血」や「縁」といった自己のルーツを捜す旅。それは読者自身の旅であり、主人公しよりは読者自身なのかもしれません。